

山梨県人会連合会の情報誌_富士の国秋号に立教大学名誉教授 萩原なつ子先生による「ジェンダー平等と女性参政権 80 年」記念講演記事が掲載されました。
8 月 25 日 18 時、日比谷公園の深い緑に蝉時雨が響く中、日本記者クラブで本講演会を開催しました。
今回は連合会、首都圏甲府会、女性の会の 3 団体が協力し、実行委員会方式によって執り行われました。講師には、ジェンダー研究の第一線で活躍する山梨県出身の萩原なつ子さんを迎えました。当日は 82 名の来場者を迎え、急遽補助席を設けるほどの満席となる大盛況でした。
開会にあたり、主催の朱宮明美代表が講演会に込めた思いを語られました。1946 年 4 月 10 日の総選挙は、日本の女性が初めて一票を投じたジェンダー平等の原点。当時は女性有権者の約 67%が投票し、39 名の女性国会議員が誕生しました。あれから 80 年。本講演会は、司会の島田敏男さんから「大切な節目は今年しかない」とお電話をいただいたことがきっかけで実現。朱宮代表は、社会の半分を占める女性の視点や生活経験を意思決定の場に生かす重要性を語り、先人のバトンを次世代へつなぐロードマップを共に描いていきたい、と熱い思いを述べられました。
講演は、「ジェンダーとは何か」という身近な問いから始まりました。具体例を交えた解説に続いて紹介されたのが、ベアテ・シロタ・ゴードンさんです。憲法草案に関わったベアテさんは、男女平等を定めた第 14 条、婚姻や家庭における個人の尊厳と両性の平等を定めた第 24 条に強い思いを込めました。女性が一人の人間として尊重され、自ら人生を選べる社会を願った思いは、新鮮な学びとなりました。講演の途中にはクイズも交えられ、参加者同士が意見を交わすなど和やかに進行。「キューピーちゃんの性別は?」の問いの答えは、「判別できない性別」。この言葉こそ、無意識の思い込みに気づかせ、誰もが自分らしく生きるための本講演の核心となるメッセージでした。さらに、創作者ローズ・オニールが女性参政権運動に関わっていた歴史も紐解かれ、身近なキューピーを通して「男らしさ」「女らしさ」が価値観や時代で異なることを再考。「ジェンダーギャップは、ジェネレーションギャップとも関係する」という言葉が深く印象に残りました。
山梨県顧問や全国の地方公共団体のアドバイザーを務める萩原氏は、ジェンダーギャップ打破に向けて多角的な活動を展開しています。ワークショップや幼児向け絵本『未来への翼を広げて』の制作など、年代に応じた学びを支えています。保護者や祖父母世代の意識改革も重要で、子どもの「こうなりたい」を性別で決めつけず、育ち始めた「若芽を摘まない」ことが、次の世代の可能性を広げ、社会の変革につながる一歩だと語られました。また、「地道に、地を走るように」進める姿勢や、答えのない状況でも考え続ける「ネガティブ・ケイパビリティ」の重要性、女性の政治参画を阻む制度や慣行の見直しにも言及。質疑応答では参加者から率直な意見が寄せられ、萩原さんとの対話を通じて会場全体で考えを深めました。
女性参政権から 80 年。ジェンダー平等は全員が当事者として考えるテーマです。「ここまで来たからよい」のではなく、「ここからまだ先へ」。先人から受け取ったバトンを次世代へつなぎ、世代を超えた対話と地道な積み重ねによって、誰もが自分らしく未来へ進める社会をつくっていきたい。そんな希望と決意を新たにする講演会となりました。
(女性の会 事務局長 鷹野由香)












